モーリスは2011年に生まれ、わずか1,050万円でノーザンファームに落札されました。
デビューしたてのモーリスはいまいち結果を残せず、クラシックに出走することも叶わずに古馬になりました。
ところが、古馬になってからいきなり勝ち星を重ね、最終的にはG1タイトルを6つ手にして引退しました。
引退後は種牡馬のシンジケートが組まれ、初年度から100頭以上の繁殖牝馬と交配しました。現在は産駒もデビューしています。
当記事では、モーリス産駒にどのような特徴があるのか、紹介していきます。
《この記事で分かること》
- 現役時代のモーリスの活躍が分かります。
- モーリスの血統と種牡馬入りできた理由が分かります。
- モーリス産駒の特徴が分かります。
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目次
大器晩成のモーリス
冒頭でも触れましたが、2.3歳のモーリスは本当にパッとしませんでした。
新馬戦こそ勝ちきりましたが、続く京王杯2歳ステークスは6着に敗れます。
3歳になって挑んだシンザン記念・スプリングステークス・京都新聞杯も敗れ、全くG1タイトルを獲れるような器ではありませんでした。
しかし、古馬になって、半年以上の長期休みをはさんで挑んだ若潮賞を勝利すると、その年のダービー卿CTでダイワメジャーのレコードを更新し、初重賞を手にします。
続く安田記念はG1馬が5頭参戦しましたが、1番人気にこたえて快勝し、ぶっつけで挑んだマイルチャンピオンシップも8枠から力強い走りで勝利を手にしました。
暮れの香港マイルも勝ち、マイラーにもかかわらず、この年の年度代表馬に選出されるに至ったのです。
翌年以降は中距離G1も視野に入れます。
ところが、連覇を狙った安田記念ではロゴタイプの逃げに不意を突かれ、中距離の試金石となった札幌記念ではネオリアリズムに逃げられました。
ピークは過ぎたと思われましたが、本命の天皇賞(秋)では中距離G1馬を完全にねじふせ完勝!
さらには暮れの香港カップも勝ちきり、G1タイトルを6つ手にして有終の美を飾ったのです。
どうして古馬になっていきなり勝ち星を重ねたのでしょう。
管理した堀調教師いわく、3歳の春は腰の痛みが尾を引いていたようで、一旦長期休養をはさんで入念にケアを重ねた結果が覚醒につながったようです。
父仔4代にわたり、G1を制覇
モーリスの父はジャパンカップを制したスクリーンヒーローです。そして、スクリーンヒーローの父は、グランプリ3連覇を成し遂げた名馬グラスワンダーです。
そして、2021年のスプリンターズステークスにおいて、モーリス産駒のピクシーナイトが直線で抜け出して勝利をおさめました。
ピクシーナイトが勝利したことで、父仔4代にわたってG1タイトルを手にしました。
モーリスの血統背景
モーリスは同時期に種牡馬入りしたドゥラメンテほど、良血馬というわけではありません。
モーリスが生産者にとってどのような魅力がある種牡馬なのか、考察します。
ディープインパクト産駒の牝馬と交配できる
こちらはモーリスの3代前までの血統を表にしたものです。
父であるスクリーンヒーローの母方にサンデーサイレンスの名前がありますね。
モーリスは濃くはありませんがサンデーサイレンスの血が混ざっている馬で、この血が濃くないところが種牡馬として期待されたポイントです。
交配牝馬の祖父がサンデー系の馬の場合、サンデーサイレンスのクロスが生まれます。
例えば、父がディープインパクトの牝馬と交配したら、サンデーサイレンスの4×3の血量を持った産駒が生まれます。
サンデーサイレンスの血をクロスすることで、サンデーサイレンスの特徴を継いだ仔が生まれやすくなります。
超良血馬との交配は失敗?
サンデーサイレンス系牝馬と交配しても血が濃くならないことから、モーリスは数多くの名牝と交配しました。
ところが、名牝の仔ほど、どういうわけか走らなかったのです。
例えば、ジェンティルドンナの仔のジェラルディーナは苦労の末にオープン入りしました。
ジェラルディーナはまだいい方です。
ヴェルシーナの仔のディヴィーナは2勝で、ブエナビスタの仔のブエナベントゥーラは1勝。同じくシーザリオの仔であるルペルカーリアも1勝です。
シンハライトとのあいだに生まれたセブンサミットに関しては6戦0勝と、いまだ勝ち星をつかめていません。
良血背景に反して全く期待外れの戦績に、巷では『モーリス四天王』という俗称でネタにされているほどです。
父モーリスのように、古馬になって覚醒する産駒がでることに期待したいです。
モーリスの代表的な産駒
モーリス四天王はいまのところ結果を残していませんが、重賞で結果を残した産駒もいます。
代表産駒を紹介します。
- ピクシーナイト
母父 #キングヘイロー の #ピクシーナイト に #福永祐一 騎手#スプリンターズステークス #東スポ競馬 #競馬 pic.twitter.com/Jy1NJtWbIx
— 東スポ競馬 (@tospo_keiba) October 3, 2021
2021年のスプリンターズステークスを制しました。モーリス産駒初のG1馬です。
- シゲルピンクルビー
3月14日(日)阪神11R🎊#フィリーズレビュー
1着⑤ #シゲルピンクルビー🏇#和田竜二 騎手🐴8人気
2着⑧ヨカヨカ🏇幸英明騎手🐴2人気
3着⑬ミニーアイル🏇藤岡康太騎手🐴11人気
単勝⑤1,390円
馬連⑤-⑧4,070円
馬単⑤→⑧7,950円
3連複⑤-⑧-⑬22,730円
3連単⑤→⑧→⑬109,810円 pic.twitter.com/i4lt8oYljU— 競馬ブックネットSHOP (@keibabookshop) March 14, 2021
シゲルピンクダイヤの妹で、芝1400mのフィリーズレビューを制しています。
- ルークズネスト
ルークズネスト pic.twitter.com/OVg1c1gRGg
— Sleep (@horror_tripp) May 7, 2021
芝1400mで行われたファルコンステークスにて、朝日杯FS勝ち馬のグレナディアガーズ相手に勝ち星をつかみました。
- ヒトツ
【海外競馬ニュース】モーリス産駒ヒトツ、豪G1ヴィクトリアダービーを1番人気で快勝! #keiba https://t.co/18U4tMUUQI pic.twitter.com/jUsod53Wox
— JRA-VAN公式 (@JRAVAN_info) October 31, 2021
シャトル種牡馬で生誕したオーストラリアの競走馬で、オーストラリアのヴィクトリアダービー(芝2500m・G1)を制しました
モーリス産駒の5つの特徴
現役時代は力強い競馬でマイルを中心としたG1タイトルを獲得したモーリス。
モーリスの仔も父のような特徴を継いでいるのでしょうか?
産駒の特徴をまとめてみました。
パワーのある馬が多い
パドックでモーリス産駒を見ると、筋肉が表面にあらわになっているほどムキムキの産駒が多いです。
父のモーリスも筋肉の塊だったので、このあたりは父の影響が色濃く継がれていますね。
得意距離は短距離からマイルにかけて
そこまで脚は長くないかわりに力強い走りを見せるのがモーリス産駒の特徴です。
2021年12月12日時点で、モーリス産駒の重賞馬は国内に3頭います。その3頭が手にした重賞レースを見る限り、短距離からマイルに強い産駒が多いです。
ただし、オーストラリア生まれのヒトツのように、芝2500mを走る馬もいるので、もしかしたら中距離や長距離で結果を残す産駒も出てくるかもしれません。
芝・ダート問わず時計の出る馬場が得意
モーリスの馬場における成績をまとめました。
こちらは、デビューしてから2021年12月12日までのあいだに走ったモーリス産駒の成績を馬場別にまとめ、単勝率で表しました。
もっとも単勝率が高いのは芝の良馬場です。
次は、ダートを見ていきましょう。こちらもデビューから2021年12月12日までのモーリス産駒のデータです。
ダートの場合は稍重から重にかけて単勝率が上がっています。
芝の場合は良馬場であればあるほど時計が出やすく、馬場が重くなるにつれ時計がかかります。
逆に、ダートの場合は良や不良馬場の場合は脚がダートにすくわれるので時計は出ません。
稍重や重馬場の場合は馬場が水分を吸って固くなるので時計が出やすくなります。
モーリス産駒は時計の出やすい条件で能力を発揮する産駒が多く、芝であれば痛みの少ない開催前半、ダートであればほどよく地面が湿っているときが狙い目でしょう。
ダートは1900m以上の距離は消したい
ダートにおける距離別成績を見てみましょう。
好走しているのはダートの1800mまで。1900m以上のレースになると、明らかに好走率を下げています。
もともと中距離ダートに挑む産駒数は少ないですが、もし1800m以下のダートで結果を残し、距離延長に挑む産駒がいれば注意したいですね。
2歳のモーリス産駒は狙いづらい
モーリス四天王の影響もありますが、デビュー年のモーリス産駒はそこまで結果を残すことができませんでした。
一時は多くの生産者を落胆させてしまいましたが、3歳になってようやく勝ち星をつかみはじめた産駒が増えてきています。
初年度産駒はデビューから2021年12月12日の段階で145頭がレースに出走し、そのうち65頭が勝利をつかみました。全体の45%ほどの産駒が勝利を手にしています。
しかし、2年目産駒は同じ段階で87頭が出走し、19頭しか勝ち星をあげていません。
初年度産駒の方がレース数が多いので、勝率が上がるのは当然ですが、年を重ねるにつれ、結果を残している産駒が増えているのも事実です。
もしかしたら、父モーリスが晩成型だったので、その特徴が産駒に引き継がれているのかもしれません。
まとめ
産駒の歴史が浅いので、限られた情報のなかから特徴を抽出しました。
ファーストクロップがデビューしたころは、なかなか期待にこたえることができませんでしたが、ピクシーナイトを筆頭に、すこしずつ結果を残す産駒が増えています。
今後、産駒の活躍によってはこのデータがくつがえる可能性もありますが、現段階では時計の出るマイル以下の距離が一番能力を発揮できる舞台です。
そして、父モーリスがそうあったように、古馬になって急に覚醒する産駒が出るのも楽しみですね。