超良血馬ドゥラメンテ産駒の特徴を解説!

競馬 血統

人によっては、ドゥラメンテがキングカメハメハ産駒の最高傑作という人もいるのではないでしょうか。

父は大型種牡馬のキングカメハメハで、母はアドマイヤグルーヴ。

アドマイヤグルーヴの父は日本競馬に革命をもたらしたサンデーサイレンスで、母はオークス馬のエアグルーヴです。

エアグルーヴの両親は同じくオークス馬のダイナカール。そして父は凱旋門賞を制したトニービンです。

ドゥラメンテは、社台ファームが総力をあげて生んだ、良血中の良血馬なのです。

当記事では、ドゥラメンテがこの世に残してくれた産駒の特徴を紹介していきます。

《この記事で分かること》

  • 現役時代のドゥラメンテの活躍が分かります。
  • ドゥラメンテ産駒の重賞馬が分かります。
  • ドゥラメンテ産駒の特徴が分かります。

【連対率100%】父を超えた二冠馬ドゥラメンテ

冠

世界中の良血馬の血を集中させたドゥラメンテはデビュー前から注目されました。

デビュー戦こそ2着に敗れはしたものの、そこから勝利を重ね、3歳の皐月賞に挑みます。

皐月賞では、4コーナーから直線にかけて、まるでドリフトするかのように大外に斜行し、ひやひやさせましたが、そこからドゥラメンテの才能が爆発します。

大外に飛び出したドゥラメンテは、とんでもない追い込み競馬を発揮すると、まえでしのぎを削るリアルスティールとキタサンブラックをあっさりかわして勝利しました。

このときの上がり3Fは33秒9です。上がり2位のリアルスティールが34秒5なので、別格の末脚ですね。

ちなみに、ディープインパクトの皐月賞の上り3Fのタイム は34秒0なので、ディープインパクトよりも速い上がりでゴールしています。

続くダービーでは、皐月賞の勝ちっぷりが評価され、1番人気に支持されます。

ダービーでは好位から直線に入ると、残り300mの地点でもう先頭に立ち、後続を置き去りにして楽勝!

勝ちタイム2.23秒2は、父のキングカメハメハのダービーレコードをコンマ1秒上回り、レコードを更新しました。

ディープインパクト、そして父キングカメハメハの記録を上回ったドゥラメンテに、だれもが三冠タイトルを手にするだろうと期待しました。

ところが……。

ダービーから1か月後、故障してしまったのです。

怪我に泣かされた現役時代

両前脚を骨折したドゥラメンテは全治9ヶ月が診断されました。

菊花賞のみならず、3歳のすべてのレースを諦め、翌年以降に向けて調整されます。

古馬の初戦で挑んだのは中山記念です。

同期のリアルスティールやアンビシャスがいましたが、休み明けにも関わらず鋭い末脚をみせ、みごと復帰戦で勝利を手にしました。

中山記念のあとはドバイに向かい、2着に健闘。怪我の後遺症もなく、堂々と競馬界を担う存在になりつつあります。

そして、帰国後、グランプリレースの宝塚記念に向かうことが発表されました。

この年の宝塚記念は出走馬全頭が重賞馬という豪華メンバーでした。

しかし、骨折明けでも以前と変わらない走りを見せているドゥラメンテは断然1番人気に支持されます。

レースはいつものように追い込み競馬です。直線ではだいぶ詰まりながらも馬群の隙間から豪脚を繰り出します。

伏兵のマリアライトにかわされはしたものの、2着は死守し、だれもが認めるレースを行いました。

しかし、レース直後に再び骨折が判明し、競走能力喪失が診断され、引退しました。

急性大腸炎で死去

出走レース数こそ少かったものの、その豪脚と、血統背景からドゥラメンテはさっそく種牡馬入りを果たしました。

初年度の種付け頭数は1年目としては国内最高頭数となる284頭と交配しました。

そして、2020年にファーストクロップがデビューします。

産駒の1頭であるタイトルホルダーが弥生賞を制し、G1でも結果を残し、ドゥラメンテの種牡馬価値も上がりつつありました。

ところが、2021年の8月に、急性大腸炎のためにドゥラメンテは亡くなってしまいました。

突然の訃報に、多くの競馬関係者や競馬ファンが、唖然としてしまったのです。

現役時代、サトノクラウンやリアルスティール、キタサンブラックなどの有力馬に勝っちましたが、怪我と病気には勝てなかったのです。

もし、ドゥラメンテが怪我しなければキタサンブラックはいまほどG1タイトルを手にしていなかったかもしれません。

とんでもないポテンシャルを秘めたドゥラメンテは、数少ない産駒をこの世に残し、天へ旅立ったのです。

代表的なドゥラメンテ産駒

親と子ども

ドゥラメンテのファーストクロップは2018年生まれです。

2021年、当記事執筆段階ではファーストクロップはまだ3歳なので、データ量も産駒数も少ないです。

数少ない産駒のなかから、有名な馬を紹介します。

菊花賞馬タイトルホルダー

2021年12月12日時点で、タイトルホルダーが唯一のG1馬、なおかつ唯一の重賞馬です。

主な勝ち鞍は菊花賞、そして弥生賞です。

弥生賞はあざやかに逃げ切り、皐月賞も逃げ粘りの競馬で2着に入選しました。

最後のクラシックタイトルを賭けた菊花賞では、この年の皐月賞馬とダービー馬が不在とは言え、無尽蔵のスタミナを活かした逃げで勝利を手にしました。

父ドゥラメンテがこの世に残した最後の一冠を、産駒が手にしたことになります。

ちなみに、タイトルホルダーの半姉には、小柄ながらもオープン入りを果たしたメロディーレーンがいます。

ドゥラメンテ産駒の特徴

パワーのある馬

産駒数が少ないので、信ぴょう性が高いデータではありませんが、数少ないデータから見えてきたドゥラメンテ産駒の特徴を紹介します。

(産駒がデビューした2020年から2021年12月5日までのデータを基に、評価しています。)

芝ならマイルから中距離にかけて走る

ドゥラメンテ産駒の距離別成績(芝)

こちらはドゥラメンテ産駒の芝における距離別成績です。

出走頭数に対して、1着に入選した頭数と、3着以内に入選した馬の頭数をだし、勝率・複勝率をまとめました。

いずれの距離でもかなり高い複勝率ですが、とくに芝の1500mから芝1800mにかけて、もっとも複勝率が高いです。

複勝率だけ見ると、芝2201m~2600mの成績もいいですが、勝率で見ると、わずか5%ほどしかありません。

勝率は1500m~2200mまでがもっともよいので、マイルから中距離がドゥラメンテ産駒のベスト距離ですね。

ちなみに2601m以上の距離は勝率・複勝率ともに100%ですが、これは菊花賞におけるタイトルホルダーのものです。

ダートも走るがマイルから1800mと幅は狭い

ドゥラメンテ産駒の距離別成績(ダート)

こちらはドゥラメンテ産駒のダートの成績です。

もっとも好走しているのはマイルから1800mまでの距離で、それ以上になると勝率は0%、複勝に絡んだ馬もわずか1頭と苦戦が強いられています。

短距離はまだましですが、マイルと比較すると好走率は低くなっていますね。

特別レースは芝でないと好走しない

特別レースや重賞レースを制したドゥラメンテ産駒は何頭かいますが、じつは、特別レースを制した産駒の主な勝ち鞍はすべて芝のレースです。

ダートでも好走実績はあるものの、特別レースや重賞レースでドゥラメンテ産駒を狙うのであれば、芝であることが求められます。

【検証】ドゥラメンテ産駒は長距離適正は高い?

長い道タイトルホルダーが菊花賞を制したので、ドゥラメンテ産駒は長距離適正が高いように感じますが、本当でしょうか?

文中でも少し触れましたが、タイトルホルダーの姉は小柄な牝馬のメロディーレーンです。

メロディーレーンは平均馬体重が350キロほどしかありませんが、父オルフェーヴル譲りのスタミナと、心臓の強さを持っています。

牝馬ながらも追加料金を払って挑んだ菊花賞ではなんと5着に入選していて、長距離でも結果を残しました。

さて、メロディーレーンやタイトルホルダーの母はメーヴェといいます。この馬は芝2600mで開催される丹頂ステークスを勝っています。

メーヴェの血統をさかのぼると、ステイヤーを輩出しているサドラーズウェルズがいます。

メロディーレーンもタイトルホルダーも、母方の特徴を強く引き継いでいることが分かりますね。

このことから、タイトルホルダーのステイヤー能力は父方というよりは、母方の長所を継いでいると考えられます。

まとめ

ドゥラメンテはわずかな産駒を残して天国へ旅立ちましたが、初年度産駒であるタイトルホルダーがG1タイトルを手にしたことで、しっかりと後継者を残しました。

今後、新たにデビューする産駒はもしかしたら短距離や中距離で結果を残すかもしれません。

いつか、ドゥラメンテのような豪脚を持つ仔が競馬界を席巻することを、楽しみにしたいと思います。