屋外で開催される競馬はどうしても天候の影響を避けることができません。
競馬は雨が降っても風が吹いても、よほどのことがない限り開催されます。そのため、雨で馬場が重たくなることもあります。
ところで、血統学ぶと、種牡馬ごとに得意とする舞台が見えてきます。もし、雨で湿った馬場を得意とする産駒が分かれば、馬券予想でも大いに活かせるでしょう。
ここでは、重馬場がどのような効果をおよぼすか紹介した上で、どの血統が重馬場を得意なのか、解説します。
《この記事で分かること》
- 芝の重馬場の意味が分かります。
- ダートの重馬場の意味が分かります。
- 芝の重馬場を得意とする産駒が分かります。
- ダートの重馬場を得意とする産駒が分かります。
目次
芝とダートの重馬場は違う
競馬の舞台となるターフには芝とダートの2種類があります。
そして、馬場状況は漢字で表記されています。
良・稍重(ややおも)・重・不良
4つの表記が存在し、不良馬場になればなるほど馬場が水分を含んでいます。
芝もダートも水分をある程度含むと重馬場表記されますが、重馬場における芝とダートはまるで別物です。
芝は稍重以下の馬場になるほど重くなる
芝の場合はシンプルに良→稍重→重→不良の順番で馬場が重くなります。芝がタフになる、もしくは、時計がかかりやすくなるともいいます。
馬場が重くなればなるほど時計が出にくくなり、体力勝負になりやすいです。
スタミナだけではなく、タフな馬場を駆け抜けるだけのパワーも必要で、スピードよりもスタミナとパワーが求められます。
ダートの重馬場は時計がでやすくなる
ダートは逆に、良馬場の場合は脚がダートに深く刺さるのでパワーが必要です。
しかし、稍重や重馬場のダートは水分を含んでダートが締まるため、馬場が固くなり、スピードがでやすくなります。
もっとも、不良馬場までになると、泥のような馬場になるのでパワーとスタミナが求められます。
ダートの場合は稍重や重馬場のほうが時計がでやすいです。
芝の重馬場はスタミナとパワーが求められ、ダートの重馬場はスピードが求められる
同じ重馬場でも芝とダートでは求められる能力がかわります。
芝の重馬場はパワーとスタミナが、ダートの場合はスピードタイプの馬が好走します。
芝の重馬場を走る産駒
芝の重馬場を走るためにはスタミナよりもパワー、よくをいえばスタミナも兼ねそろえている馬が力を発揮しやすいです。
ここでは、重馬場を得意とする産駒を紹介します。
ステイゴールド系産駒
道悪の代名詞ともいえるステイゴールド産駒はパワーとスタミナを兼ねそろえた馬です。
ステイゴールド産駒のオルフェーヴルを例に挙げると、道悪のダービーや洋芝の凱旋門賞を2年連続で2着に入選していることから、明らかにパワータイプの馬です。
ほかにも、ナカヤマフェスタが稍重馬場の宝塚記念でブエナビスタに先着していたり、オジュウチョウサンが不良馬場の中山GJを勝っていて、スタミナ色も強いです。
暮れの時計がかかりやすい有馬記念で好走している産駒も多いですし、ステイゴールド系産駒は典型的なパワータイプの馬です。
ステイゴールドは2015年に亡くなりましたが、オルフェーヴルやゴールドシップなどの後継種牡馬に恵まれました。
オルフェーヴルなどのステイゴールド二世も時計のかかる馬場を得意としています。
例えば、オルフェーヴル産駒のエポカドーロは稍重の皐月賞を勝っていますし、ステイゴールドの特徴は孫の代まで継がれていますね。
ハービンジャー産駒
イギリスの競走馬であるハービンジャーもパワーのある馬です。
2014年に生まれたディアドラ、モズカッチャン、ペルシアンナイトの3頭は2017年の秋の京都競馬で行われたG1を勝利しています。
この年の京都は天候も崩れやすく、開幕から割と時計がかかりやすかったです。ディアドラは重馬場の秋華賞を、そしてペルシアンナイトは稍重のマイルCSを勝ちました。
2015年生まれのブラストワンピースも稍重で開催された有馬記念を勝っています。
また、洋芝で力が求められる札幌記念も勝利しており、タフな馬場を得意とする産駒が多いです。
キズナ産駒
距離や舞台問わず、どんな舞台でも結果を残すキズナ産駒も重馬場巧者です。
こちらはキズナ産駒がデビューしてから、2021年12月12日までの出走馬の統計を着順ごとにまとめています。
単勝率・複勝率ともに馬場が重くなればなるほど、好走率が上がっています。
2021年の阪神大賞典において、キズナ産駒のディープボンドが後続を5馬身つきはなして完勝していることからも、重馬場が得意なのは明白ですね。
エイシンフラッシュ産駒
2014年に種牡馬入りしたものの、いまだ重賞馬に恵まれていないエイシンフラッシュですが、意外と道悪を得意とする産駒が多いです。
こちらはデビューから2021年12月12日時点までのエイシンフラッシュ産駒の成績です。
馬場が重くなるにつれて勝率、複勝率ともに上昇していることから、エイシンフラッシュ産駒は典型的な重馬場巧者です。
重賞ではいまいち物足りない産駒なので、条件戦で狙ってみたいですね。
ダートの重馬場を走る産駒
ダートの重馬場ではスピードだけではなく、雨に濡れても折れないメンタルも必要です。
重馬場で好走している産駒を紹介します。
カジノドライヴ産駒
アメリカ生まれのカジノドライヴは日本ではそこまで結果を残せませんでしたが、種牡馬入りを果たし、カジノフォンテンなどのG1馬を輩出しました。
カジノドライヴ産駒は意外なほど重馬場巧者です。
馬場が重くなればなるほど好走率が高いですね。
カジノドライヴ産駒もエイシンフラッシュ産駒同様、重賞では力が足りないので、条件戦で狙いたいです。
キングカメハメハ産駒
ディープインパクトにならぶ大型種牡馬のキングカメハメハもダートの重馬場は苦にしません。
こちらはキングカメハメハ産駒がデビューしてから、2021年までの産駒の成績です。
大型種牡馬だけありどのような馬場条件でも結果を残していますが、その中でも稍重や重馬場といった高速ダートで真価を発揮しているのが分かります。
クロフネ産駒
現役時代は芝とダートのG1タイトルを手にしたクロフネは、産駒も芝・ダート問わず好走する馬が多いです。
産駒のデビューから2021年12月12日時点の馬場別好走条件を見ると、良馬場よりも、重馬場や不良馬場のほうが勝率が高いです。
求められる能力がまるで違う重馬場と不良馬場で好走している背景には、雨が降ってもものともしないメンタルが備わっているからでしょう。
雨のクロフネ産駒は意外と狙い目かもしれません。
【注】サンデーサイレンス系の馬は重馬場で勝率を落とす
当記事で紹介したダートにおける重馬場巧者はいずれも非サンデーサイレンス系の馬です。
サンデーサイレンス系の馬はもともとダートはそこまで得意ではありませんが、重馬場になるとより成績を落とす傾向にあります。
こちらは父にサンデーサイレンスをもつゴールドアリュール産駒の成績です。
産駒の成績を見ると、良馬場の方が好走率が高く、馬場が重くなるにつれ成績が悪くなっています。
ゴールドアリュール以外のサンデーサイレンス産駒も、重馬場はあまり得意ではない馬が多いですね。
サンデーサイレンス二世は現役時代に芝で活躍していたので、産駒にも芝適性の高い馬が多いのでしょう。
まとめ
血統予想を駆使することで、重馬場でも走るであろう産駒を見出すことができます。
ここでは、重馬場で好走する馬の一例を紹介しましたが、掘り起こせばもっとたくさんの重馬場巧者が見つかるでしょう。
重馬場で走る産駒はどの馬なのか?また、重馬場を苦手とする産駒はどの馬なのか?
産駒の成績を読み解くのも血統予想の醍醐味ですよ。