競走馬には、より強い馬を生む使命があります。
幾多のビッグレースを勝った馬は種牡馬、もしくは繁殖牝馬として、産駒というかたちで後世に血を残します。
しかし、いくら現役時代にG1タイトルを総なめにした馬でも、種牡馬としては結果を残せなかったケースもあります。
逆に、現役時代まったく活躍しなかった馬が種牡馬として大役を果たすケースもあるので、種牡馬として成功するかどうかはある意味、運否天賦です。
現在種牡馬として期待されているのはどの馬なのでしょうか。
当記事では、2022年の種付け料を比較しながら、期待されている種牡馬を紹介していきます。
《この記事で分かること》
- 種付けと種付け料について分かります。
- 来年から種牡馬入りする馬が分かります。
- 種牡馬の種付け料が分かります。
- 現在注目されている種牡馬が分かります。
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目次
種付けって何?
牡馬と牝馬の交配です。
主に2月から7月にかけて行われます。
なぜ、この時期に種付けが行われるかというと、サラブレッドが【季節繁殖動物】だからです。
元来、サラブレッドは草木が生えて食料が豊富になる春から夏にかけて、生殖をおこないました。
その傾向が現在の競走馬にも継がれいるため、この時期に繁殖シーズンを迎えます。
なお、牝馬は受胎から出産までの妊娠期間は約11か月なので、牝馬は1年に1回しか出産できません。
そのため、2月から5月生まれの馬が多いです。
種付け料とは?
種付けするための料金です。
種馬を所有するオーナーが価格を設定できます。
種付け料の支払いシステムもオーナーが決めることができます。
種付け料は、かつては交配した段階で支払うのが一般的でしたが、1980年ごろから緩和されました。
具体的には、受胎が確認した場合に種付け料を支払う【受胎条件】や、産駒が出生してはじめて支払う【出生条件】などがあります。
種付け料はどのように決まる?
前述したように、オーナーが設定できますが、現役時代に活躍した馬や、良血馬、種牡馬として結果を残している馬ほど種付け料は高くなります。
現役時代も種牡馬としても活躍した馬の種付け料は1,000万円を越えるほどです。
例えば、ディープインパクトは、現役時代の活躍が見込まれ、種牡馬入りした年の種付け料は破格の1,200万円でした。
産駒が数々のG1タイトルを手にするに比例し、種付け料も上昇、最終的に種付け料は4,000万円になりました。
もっとも種付け料の高い馬を繋養しているのは社台ファーム
国内でもっとも多くの種牡馬を管理しているのは北海道の社台ファームです。
ディープインパクトをはじめ、キングカメハメハやサンデーサイレンス、ノーザンテーストといった大型種牡馬を管理していました。
現在も数多くの種牡馬として繋養(けいよう)しています。
種牡馬の種付け料金ランキング
種牡馬を管理する各牧場から、2022年の種付け料金が発表されました。
もっとも種付け料の高い馬から見てみましょう。
種付け料1,000万越えは4頭!
2022年の種付け料で1,000万円を越えたのは4頭です。
- エピファネイア
2022年の種付け料でもっとも高額だったのはエピファネイアで、1,800万円でした。
父がシンボリクリスエスで母はシーザリオとの良血馬です。
サンデーサイレンスの血が薄いだけではなく、キングカメハメハの血も持たないので、有力牝馬と交配できるのがポイントです。
しかし、もっとも価値が上がったのは産駒の活躍に尽きます。
初年度産駒からは無敗の三冠馬であるデアリングタクトが生まれ、2年目産駒には皐月賞馬のエフフォーリアがいます。
3年目の産駒となるサークルオブライフも阪神JFを制していて、毎年G1馬を輩出しているのが種付け料向上の要因です。
- ロードカナロア
キングカメハメハの後継として名を馳せた、名スプリンターのロードカナロアは今年はすえおきです。
初年度産駒からは年度代表馬のアーモンドアイを筆頭に、ステルヴィオやダノンスマッシュを輩出し、種牡馬ランキング上位に台頭しました。
ところが、2年目以降の目立った産駒が、サートゥルナーリアくらいしかいません。
アーモンドアイクラスとまではいいませんが、重賞馬の数に恵まれたいところです。
- キズナ
キズナ産駒は前年より200万円アップの1,200万円で種付け料が決まりました。
コンスタントに重賞馬を輩出していて、芝でもダートでも、短距離から長距離まで幅広く結果を残すオールラウンダーを輩出しています。
ただし、G1馬は2021年12月12日時点でアカイイトしかいません。
今後、G1ホースが増えればさらに種付け料は上がるでしょう。
- コントレイル
2021年のジャパンカップで有終の美をかざり、4歳ながらも種牡馬入りするために引退した無敗の三冠馬です。
種付け価格は父ディープインパクトの1年目と同じ1,200万円に設定されました。
ポストディープインパクト争いにくわわることができるでしょうか。
前年よりも種付け料が上がった馬
前年から種付け料が上がった馬は、産駒が大舞台で活躍しているか、もしくは活躍できるだろうと見込まれた場合です。
1,000万円以下の馬で、種付け料の上がった馬を紹介します。
- サートゥルナーリア
父がロードカナロアで、母はシーザリオです。エピファネイアの半弟にあたります。
主な勝ち鞍は皐月賞です。古馬になってからはパッとしませんでしたが、若くして種牡馬入りできたので、産駒次第では長く種牡馬として活躍できるでしょう。
有馬記念で2着の実績があるので、父のロードカナロアよりは距離を延ばしても通用しそうです。
産駒のデビューは2024年です。
- ドレフォン
アメリカの競走馬で、ブリーダーズカップ(ダートG1)を制しています。
ストームキャット系の馬で、力強い走りをする産駒に恵まれそうです。
現2歳が初年度産駒で、ジオグリフが札幌2歳ステークスを制しています。
- レイデオロ
レイデオロは2016年のダービー馬ですね。
産駒のデビューは2023年ですが、3代前の母方の母にウインドインハーヘアがいるのがポイント。
ディープインパクト産駒の牝馬と交配すると、ウインドインハーヘアのクロスが発生します。
名牝のクロスが競馬界を盛り上げることに期待したいです。
- シルバーステート
前年の150万円から価格が4倍につりあがりました。
優駿スタリオンステーションが繋養するもっとも高額なシルバーステートは、現役時代に福永騎手をして、ダービーを狙える馬といわせるほどでした。
ところが、2度の屈腱炎のために重賞未出走で引退します。通算成績は5戦4勝でした。
勝ったレースはいずれもノーステッキだったことから、種牡馬としての期待も高いです。
そして、早くも初年度産駒のウォーターナビレラがファンタジーステークス(G3)を制しました。
種付け料がすえおきの馬
昨年と種付け料に変動がない馬もいます。
産駒にこれといった活躍馬がいない場合はすえおきになることがあります。
- ブリックスアンドモルタル
アメリカの中距離芝G1を5勝。出走数19戦のうちの17勝で勝利をおさめ、残る2戦は3着と、すばらしい成績をおさめました。
母方にも父方にも3代前にStorm Birdがいるのが特徴です。Storm Birdの血量25%を持つ、濃いインブリード持ちです。
産駒のデビューは2023年ですが、来日後、ソウルスターリングやダイワスカーレットと交配しているようで、関係者からの注目も高いです。
- ヘニーヒューズ
産駒は短距離からマイルのダートを得意とする馬が多いですね。
2021年は特に目立ったダートホースを輩出していませんが、ゴールドアリュール産駒とともに、あいかわらずダートの第一戦で結果を残しています。
前年よりも種付け料が下がった馬
種付け料が下がった馬は、有力牝馬と交配したにもかかわらず、大して活躍できなかったケースがほとんどです。
新種牡馬は毎年のように入厩するので、種牡馬にとっては一刻もはやく産駒に結果を残してもらいたいでしょう。
- モーリス
名マイラーモーリスは前年よりも100万円ダウンしました。
スプリンターズステークスを制したピクシーナイトのように、活躍している産駒がいるのも事実です。
しかし、名牝とのあいだに生まれた産駒が全く結果を残していないのが課題です。
現役時代のモーリスのように、古馬になってからの覚醒に期待したいところです。
種付け料金【private】とは?
プライベート価格は全くの非公表で、一部の関係者のみに種付けを行う内輪システムです。
一般的に種付け頭数が多ければ多いほど、種牡馬に負担がきます。年を重ねた馬はより顕著になります。
あえてプライベート価格を設けることで、種付け数を意図的に減らし、種牡馬の負担を減らすことを目的としています。
ここで紹介するダイワメジャーとスクリーンヒーローは2021年からプライベート価格になりました。
ちなみに2020年の種付け料は両頭とも600万円でした。
ダイワメジャー
皐月賞をはじめ、数多くのマイルG1を手にしました。
産駒には父の特徴が濃く継がれていて、芝の1800mまでならコンスタントに重賞タイトルを手にする反面、いまだに芝2000m以上の重賞タイトルを手にしていないです。
長く種牡馬として活躍しましたが、20歳を超えているので、プライベート価格に設定されました。
スクリーンヒーロー
父はグラスワンダーで、2008年のジャパンカップの勝ち馬ですね。
ディープインパクトやキングカメハメハほど、幅広く重賞馬を輩出していませんが、ゴールドアクターとモーリスを輩出しました。
この2頭以外はこれといった産駒はいませんが、2頭とも種牡馬入りしたので、後継種牡馬はしっかり確保できました。
今後は半種牡馬というかたちで余生を過ごすと思われます。
まとめ
種牡馬にかかる期待値は設定された種付け料で分かります。
とくにエピファネイアは重賞馬こそ少ないものの、毎年G1馬を輩出しているからすごいですよね。
また、シルバーステートのように、重賞未出走ながらも価格がつり上がった馬もいますし、血統は突き止めれば突き止めるほど、奥深い要素だと感じます。
来年は、どの産駒が競馬界の中心になるのでしょうか。いまから楽しみですね。