血統予想で最初に注目するのは、両親の名前ではないでしょうか。
特に、父馬は産駒数が多いので、特徴や傾向がまとめられています。
また、父馬の現役時代使われてきたレースを見ると、なんとなく産駒も父と同じ舞台が得意なように思えますよね。
母馬は父と比較するとそこまで際立った活躍をしなくても、有名馬を輩出することが多いので、戦績はあまり気にしません。
しかし、母の名前の近くにかっこで表記されている馬には注目してもらいたいのです。かっこの中には、母の父(ブルードメアサイヤー)が表記されています。
なぜ、母の父が血統予想で重要なのか? 解説していきます。
《この記事で分かること》
- ブルードメアサイヤーの意味を知ることができます。
- 有名なブルードメアサイヤーが分かります。
- 現在、活躍しているブルードメアサイヤーが分かります。
目次
ブルードメアサイヤーとは
冒頭でも少し触れましたが、母の父を指します。
【ブルードメア】は繁殖牝馬、【サイヤー】は種牡馬という意味です。略してBMSともいいます。
血統欄では、3代前の母方の父がブルードメアサイヤーです。
こちらは三冠馬のオルフェーヴルの4代血統です。
オルフェーヴルの場合、ブルードメアサイヤーはメジロマックイーンとなります。
ブルードメアサイヤーが血統予想で重要視される理由
競走馬は両親の特徴だけでなく、母方の父の特徴も引き継ぎやすい生き物といわれているので、ブルードメアサイヤーは非常に重要視されています。
ところで、両親から遺伝される特徴は長所ばかりではなく、短所を引き継ぐこともあります。
例えば、ポテンシャルを秘めている馬でも気性が荒ければ、産駒も気性難になりやすいです。
しかし、ブルードメアサイヤーが非常におとなしくて素直な馬であれば、おちつきのある馬が生まれてくる可能性があります。
これは、性格のみならず、競走能力にも当てはまります。
2021年の大阪杯を制したレイパパレという馬を見ていきましょう。
レイパパレの父は加速力に定評のあるディープインパクトで、母の父は芝とダートのG1タイトルをつかんだアメリカ生まれのクロフネです。
レイパパレが勝った年の大阪杯は開催直前に大雨が降り、重馬場で行われました。
コントレイルやグランアレグリアといった有力馬が重馬場に苦しむ中で、このレイパパレだけがスピードを削ぐことなくゴールしました。
なぜレイパパレがタフな馬場であざやかに勝ちきれかというと、母の父クロフネの影響が大きいです。
クロフネは現役時代にマイルやダートで結果を残していて、産駒も短距離からマイルを得意とする馬が多く、力のある馬が多いです。
レイパパレの大阪杯は、クロフネの特徴が反映された結果で、ブルードメアサイヤーとして継がれた能力が見事光った一戦だったのです。
母の父の特徴は必ずしも引き継ぐわけではない
レイパパレのように、ブルードメアサイヤーの特徴を引き継いだ例もあれば、全く引き継がないケースもあります。
こちらは2015年の菊花賞をはじめ、最終的にG1タイトルを7つ手にして引退したキタサンブラックの血統です。
父はブラックタイドで全弟にディープインパクトがいます。
そして、ブルードメアサイヤーはスプリンターズステークスを連破したサクラバクシンオーです。
サクラバクシンオーといったら生粋のスプリンターです。
産駒を見てもビッグアーサーやショウナンカンプなどの短距離馬を中心に輩出しています。
ところが、キタサンブラックが手にしたG1は菊花賞・天皇賞(春)・有馬記念など、芝の2000m以上のレースばかりです。
キタサンブラックのレーススタイルは無尽蔵のスタミナを活かした粘り強い競馬です。
本当にブルードメアサイヤーがサクラバクシンオーなのか、疑いたくなるような馬です。
有名なブルードメアサイヤー
ブルードメアサイヤーが日本で注目されたのは、1975年にアメリカから輸入されたノーザンテーストの影響が大きいです。
ノーザンテーストをはじめ、かつてブルードメアサイヤーとして活躍した馬を紹介します。
ノーザンテースト
ブルードメアサイヤーの価値を世に広めた第一人者です。
種牡馬としても活躍しましたが、母の父としても活躍し、1990年から2006年の16年間、ブルードメアサイヤーランキングで首位を独走していました。
ブルードメアサイヤーとしてのノーザンテーストの産駒です。
- サッカーボーイ
- サクラバクシンオー
- フラワーパーク
- エアグルーヴ
- デュランダル
- ダイワメジャー
- ダイワスカーレット
- カンパニー
ブルードメアサイヤーとしてのノーザンテーストは、短距離からマイルを得意とする馬を多く輩出しています。
余談ですが、この時期、アメリカから輸入されたサンデーサイレンスとの相性は悪かったです。
「父サンデーサイレンス×母の父ノーザンテースト」の組み合わせでクラシックを手にしたのはダイワメジャーだけでした。
マルゼンスキー
現役時代は朝日杯3歳ステークス(現在の朝日杯FS)をはじめ、デビューから無敗の8連勝を成し遂げました。
怪我のために引退しましたが、ブルードメアサイヤーとしても活躍しました。
ブルードメアサイヤーとしてのマルゼンスキーの産駒です。
- ライスシャワー
- ウイニングチケット
- メジロブライト
- スペシャルウィーク
中距離から長距離にかけて結果を残した産駒が多いですね。
いずれも昔の馬ですが、マルゼンスキーをはじめ、アプリゲーム「ウマ娘プリティダービー」で擬人化されているので、最近になって知名度を上げています。
サンデーサイレンス
90年代にアメリカから輸入され、血統の歴史を覆したサンデーサイレンス。
産駒は距離、芝・ダート問わず、どんな舞台でも走ることから、瞬く間でサンデーサイレンス産駒が増えてしまいました。
爆発的に増えたことで、引退したサンデーサイレンス産駒の配合の際、生産者は頭を悩ませたのですが、これも昔の話です。
母の父としてのサンデーサイレンスも優秀で、数多くの有名馬を輩出しています。
- アドマイヤムーン
- スクリーンヒーロー
- ロゴタイプ
- レッドファルクス
- ドゥラメンテ
- ペルシアンナイト
- アーモンドアイ
近年までターフを走っていた馬も多く見られますし、ペルシアンナイトのように現在も現役で走っている馬もいます。
数多くの仔が結果を残したので、2007年にそれまでブルードメアサイヤーランキングトップだったノーザンテーストを超え、それから13年間首位をキープしました。
2020年のブルードメアサイヤーランキング
2020年のブルードメアサイヤーランキングは下記のようになっています。
1位.キングカメハメハ
2位.サンデーサイレンス
3位.クロフネ
4位.アグネスタキオン
5位.ディープインパクト
キングカメハメハがブルードメアサイヤーとしては史上初の首位に躍り出ました。サンデーサイレンスは2位にランクダウンです。
3位は欧州型のクロフネで、4位にアグネスタキオン、5位にディープインパクトが続きます。
キングカメハメハの特徴
キングカメハメハはサンデーサイレンスの血を持たない馬、通称「非サンデーサイレンス」系なので、優秀なサンデーサイレンス系牝馬と交配できるのが強みですね。
ブルードメアサイヤーとしてのキングカメハメハの仔を見ると、距離問わず結果を残している馬が多く見られます。
ブルードメアサイヤーとしてのキングカメハメハ産駒です。
- インディチャンプ
- ブラストワンピース
- ソダシ
- デアリングタクト
- ワグネリアン
サンデーサイレンスの特徴
首位こそキングカメハメハに奪われたものの、産駒数の多さから2位をキープしています。
アーモンドアイやドゥラメンテのように、クラシックタイトルを奪取する馬もいれば、ヴァーミリアンのようにダート重賞で結果を残している産駒も多いです。
芝やダート問わず活躍する産駒がいることから、キングカメハメハよりも舞台適性が広いです。
クロフネの特徴
欧州血統のクロフネも後世に血筋を残しました。
代表産駒は
- クロノジェネシス
- ノームコア
- レイパパレ
芝であればマイルから中距離にかけて結果を残している馬が多いですね。
たまたまだと思いますが、活躍している馬は牝馬が多いのも特徴です。
アグネスタキオンの特徴
デビューから無敗で皐月賞を制し、怪我のためにターフを去った光速の粒子です。
種牡馬としても活躍しましたが、ブルードメアサイヤーとしても活躍しています。
代表産駒は
- ノンコノユメ
- ワイドファラオ
- エイティーンガール
芝でもダートでも活躍している馬を輩出していますが、父と違って短距離からマイルにかけて結果を残している馬が多く見られますね。
ディープインパクトの特徴
現役時代、そして種牡馬としても大活躍し、競馬界に大きな爪跡を残しました。
いまはまだサンデーサイレンスがブルードメアサイヤーとして活躍していますが、絶対数が少なくなれば、必然的にディープインパクトのランクも上がるでしょう。
代表産駒は
- キセキ
- アリストテレス
- ステラヴェローチェ
芝の中距離から長距離を得意とする馬が多そうです。この3頭はいずれも菊花賞で人気を背負い、なおかつ掲示板に入選しています。
母父ディープインパクトは菊花賞で狙い目かもしれません。
まとめ
血統で盲点にされがちですが、ブルードメアサイヤーは産駒の長所を伸ばしたり、短所を補う効果があり、決して軽視しないほうがいいです。
また、ブルードメアサイヤーも種牡馬と同じく特徴があります。母の父を知ることで、より血統予想を楽しむことができるでしょう。
ブルードメアサイヤーの特徴を駆使して、馬券収支向上に活かしてみてください。